ウイロー・パターンはラブ・ストーリー
シノワズリー(ヨーロッパにおける中国趣味)の代表的図柄の一つがウイロー・パターンです。
それには外す事の出来ない幾つかの約束事が在ります。まず@その題目になっている柳(WILLOW・ウイロー)の木が画かれている事。A中州の東屋(あずまや)B橋上の番人C小舟Dひとつがいで雌雄の鳥が空を飛んでいる事です。
昔、中国に風になびく程の大きな柳の植えてある大きな庭と、小舟を浮かべる程の広い池を持つ裕福な地方官吏がおりました。池の中洲には東屋が在り、そこへは橋を架けて渡りました。物語の地方官吏には美しい娘がいました。彼女は聡明な使用人と恋をしていました。しかし、父の官吏は娘を大金持ちで権力を持つ初老の男性に嫁がせる積りでいました。娘の恋を知り、彼は池の中にある東屋に娘を幽閉し、橋には番人を配置して見張らせました。二人に味方する下女の計らいで一旦は小舟に乗って逃れるのですが、やがて捉まってしまい若者は殺されます。悲しみのあまり残された女は川に身を投げて自ら生命を絶ちます。二人の魂は鳥に成り、大空で結ばれます。