「青磁の美」「写し-技とかたちの伝承」 展覧会見聞記
8月22日に東京で出光美術館「青磁の美」、三井記念美術館「写し-技のかたちの伝承」を見学しました。
出光美術館「青磁の美」では、西周の作品から始まる数々の名品に感動しながら拝見していました。
鎬文丸皿(しのぎもんまるさら:元代末期〜明代初期・龍泉窯)に出会い会場で「アッ!」と声を発しました。
扱わせて頂きました古備前菊文肴鉢と同形なのです。「これは模倣すると云うよりこの形のものを国焼で陶工に造らせると面白いだろうなと考えた茶人の創意だな」と感じました。日本人は進取の気性に富んだ豊かな想像性を持ち合わせています。茶ノ湯ではいつも素晴らしいものに出会った時に、これを茶の道具に取り入れられないだろうかなァと考えます。数寄者の飽くなき求美心の表れです。
備前 桃山時代
径 22cm
三井記念館では、パンフレットに記してある文章にけだし名言と膝を打ちました。
曰く「日本美術において「写す」ことは、師や先人の優れた技や精神を学習する機会であるとともに、新たな創造の糧となるものでした。」言い得て妙です。
会場で並べて展示されている本家の御所丸茶碗と慶入作の御所丸写し茶碗を拝見すると先人に対する敬意が感じられました。そして、我を殺して忠実に写しているようにしても造り手の個性、教養は隠せないなァと想いました。
出光美術館 「青磁の美」2006年7月22日〜9月3日
三井記念美術館 「美術の中の「写し」-技とかたちの継承」7月11日〜9月3日